アガベの発根管理と培地
- 2024.10.31
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こんにちは!よしのぶです
本日はアガベの発根管理について解説します
ネット上では発根管理について色んな方法が紹介されており、実際どの方法がいいのか迷ってしまう方もたくさんいらっしゃるでしょう
ぶっちゃけ大体のアガベは(ユタエンシス系とか一部の種を除いて)どの方法でも95%くらい発根します
なのでこれから紹介するどの方法が特別優れてるというようなことはないです。結局どうやっても発根はするので
ただ少ないながらも非推奨な管理手法も存在してるのでそれらも一緒に解説していきます
発根管理のやり方色々
まず大まかに分けて3種類、水耕と水苔と土耕があります
水耕栽培のように根元を水面に浸けるか水苔や土にそのまま挿すか
最初に書いた通り上記3種類のどの管理方法でも結局発根はするんですが、一応まずはざっくり各々のメリット・デメリットだけ解説しておきます
水耕
メリットは発根したら目視確認がすぐできること。それと発根までにかかる期間が他の手法と比較して平均的に短く済む傾向にあること
デメリットは部屋の湿度によっては毎日2回も3回も水を注ぎ足して水位を調節しないといけない面倒さ
そして容器を定期的に洗わないといけない面倒さと、水耕容器内で雑菌が繁殖したり植物に腐りが入った場合に容態が悪化する速度も速くなってしまうリスク
発根にかかる日数も比較的短く済む代わりに1日あたりの管理に要求される手間が多く、更に腐りが進行するのも速いのでこまめに1株ずつ状態チェックできる人にオススメな管理手法、それが水耕管理
あとアガベの中でもホリダとかマルガリータとか、湿度に弱すぎて一瞬で腐りが入る種がちょこちょこ存在してる点も注意が必要。
去年から流行り始めたチタノタ×ホリダ、チタノタ×マルガリータ、チタノタ×エボリ、エボリBBもチタノタと比較して圧倒的に脆弱性が高いです。
1株33,000円ずつで仕入れたチタエボとエボリBBの屋外管理株はすべて腐りました(同環境のオテロイは200株前後の屋外管理で今年腐ったの2株だけ)
悲しい!
水苔
メリット:デカいザルに水苔つめるだけで20株以上の子株を一括で発根管理できて楽
デメリット:あまりに管理が楽なので放置してしまいがち。結果として気が付かないまま株が溶けたり腐ったりする事象が頻発。それと異常なまでに虫が涌く。トビムシが数百とか数千匹の単位で無限湧きする。
まぁトビムシは株に寄生したり吸い付いたりする害虫ではないので単純に不快なだけなんですが、
それでも「そろそろ発根したかな?」と思って子株を手に取り根本を確認した時、
虫が何匹も這い回ってる状況を認識して「でも益虫だしオッケー!」とはならないですよね。
どんなポジティブ思考の持ち主であっても虫見て瞬獄殺余裕です
対策としては水苔を1ヶ月ごとに交換すること
2ヶ月目は水苔表面に藻が繁殖し始めて緑が広がってくるタイミングなので見た目的にも防虫対策としても毎月使い捨てが安牌
水苔は土と比べると単価も高いので毎月交換となると月1,000円のサブスクでザル1,2個分ぐらいのコスト感覚でしょうか
とにかく一括管理は楽、ただしトビムシ大繁殖か水苔サブスクか・・・
土耕
メリット:プレステラ90を普通に用土で満たし、普通に未発根の子株を1株挿します。忘れた頃に勝手に発根して、そのまま普通にプレステラ内で成長し始めます。水苔の場合は発根確認後に用土に植え替える手間がかかりますが、土耕の場合はそれすらも省略されるため一番楽な管理手法です
デメリット:統計データとしてn=1000程度の規模感なので気の所為と言われればそれまでなんですが、体感発根までに必要な期間が長期化する割合が(特に水耕と比較した場合に)大きい気がします。半年発根できない株が3年連続で3-5株ずつ発生してる。ただし発根管理が長期化しやすい品種に偏りがあるので遺伝的な要因もありそう
土耕という大まかな区分の中にも、
・発根管理専用の土で管理して発根後に別の培養土へ植え替える人
・排水性の高い用土に植えてこまめに灌水する人
・土耕の受け皿(トレー)に水を溜めて腰水状態で管理する人
と細かくタイプが分かれるので、一括りにして語るのは難しいのですが
その中でもあんまりやらないほうがいいなと個人的に思ったのは「とりあえず普通に培養土に挿して発根することを祈りながら屋外雨晒し管理で放置する」タイプの発根管理
室内で場所をとらないしLEDの電気代もかからない、発根してもそのまま外で成長してくれるという究極に楽な発根管理手法ではありますが、腐りとか菌とかじゃなくて普通に日差しに負けて干からびる子株が多かったですね
海外のナーセリーでは一般的な発根管理(そもそも室内管理のナーセリーなんてメリ業者くらいなので採取直後の子株だろうと屋外しか管理場所が存在しない)ではあるものの、日本の夏は光量/温度/湿度すべてがオーバーキルだったようです
もし屋外でやるなら最低50%は遮光した上でトレーには常に水を溜めておくことを推奨します
室内で土耕管理する場合においても、未発根株の鉢表面から深さ3cm程度までの用土が完全に乾燥してる状態が続くと発根した直後の根がそのまま伸びずに過乾燥でグダるパターンがあるので土耕は風弱め・灌水頻度高めor腰水が良いでしょう
ヨシノブ式アガベ発根管理
というわけで3種の発根管理方法について簡単に解説してきました
その上で実際に今の僕が使用している発根管理の手法について紹介しましょう
それは培地を使用した発根管理です
水耕・水苔・土耕と3種類の発根管理を説明した上でいきなり違う結論へと飛んだ形ですが、上の動画を見てもらえばわかる通りぶっちゃけほぼ水苔です
水苔と同じくらいの保水性で、水分を含んだ後の重量も同体積の水苔とほぼ同値
手で押し込んだときの反発性や実際に株を抜き差しする際の使用感まで全て含めてほとんど水苔と同じ
何もかもが水苔と同じなのでこれはもう実質水苔なのではないかとおもいます
強いて違う点を挙げるとしたら
【配合割合】
ポリエステル 50.6%
ポリプロピレン・ポリエチレン 37.9%
アクリル 6.1%
毛 2.4%
綿・レーヨン 2.0%
ナイロン 0.9%
その他 0.1%
黒曜石パーライト 約2.63%
真珠岩パーライト 約2.63%
ゼオライト 約0.84%
炭 約4.20%
水 約24.00%
【化学性分析結果】
EC:0.13
pH:7.1
CEC:83.2 cmol/kg
一見してわかる通りポリエステル・ポリプロピレン・ポリエチレン等の無機物が成分の大半を占めており、EC値も低い(=栄養分が薄い)ため虫や雑菌等が繁殖できない土壌環境になります
つまり水苔最大のデメリットである「トビムシ大繁殖か水苔サブスク」の選択を迫られることなく、シンプルに楽な一括管理を交換なしで半永久的に持続することが可能というわけです
しかも、CEC83.2と中々高水準な保肥力を有したこの培地は
発根後そのまま培地育成を継続する際に液肥を投下することで培養土と変わらない育成運用へとスムーズに以降することが可能です
アガベに限らず多くの園芸分野では「挿し木は赤玉細粒のみで肥料は一切入れずに管理して」「活着後は肥料入りの培養土へ植え替える」という管理方法が推奨されているものの、
この培地に至っては植え替えなしで「発根管理段階ではEC値0.13の土壌化学性をキープしたまま」「活着後にはCEC83.2の保肥力を以て液肥に対してシビアなレスポンスが可能」と両面で対応できる受けの広さ
というわけで以上の理由から当店では全ての子株の発根管理+胴切り天の再発根についてこの培地を使用しています。
実物を見たい方は是非インスタかツイッターから予約してご来店ください
培地の販売は店頭でもネットでも対応してます。
1パック約3Lで1,000円(1パックでも10パックでも送料が全国一律1,500円かかります)
ちなみに、ビカクシダの板付でも水苔の代わりにこの培地を使ってみたところ糸をかなりの回数巻かないと隙間から培地がポロポロもれて不快だったのでビカクは普通に水苔で板付してます
動画は「P. willinckii jenny#1」
OC子株×2は秋まで養生してから販売予定です
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