【初心者向け】土の作り方解説してみた
- 2023.08.17
- 未分類
お久しぶりです。よしのぶです。
今日はアガベ用の土の配合について解説していきます!
アガベといってもオテロイ専用なので、エボリやホリダを植える場合には自宅の環境にあったアレンジを各自でおねがいします!
前提条件と基礎知識
一年を通して室温25℃湿度38%をキープしてる僕の部屋での使用事例です
夏も冬も、朝も夜も、24時間365日室温25℃湿度38%なので土の乾き方は常に一定になるよう固定してあります
(※一般的に植物の育成には朝晩の寒暖差が10℃以上はあったほうが良いと言われており、光量と温度の変化によって現在時刻を把握しながら光合成を行う植物にとって24時間温度が変わらない育成環境は生活リズムを狂わせやすい邪悪なものとされています。良い子は真似しないでね!)
そして今から解説する用土は、上記の条件下で「より葉数の充実したボール型のオテロイ」に仕立てるための配合比率になります
こんな感じの株!
対極に「短葉肉厚で、葉数が少ないままコンパクトに速く育成したい」っていう育成方針もあって、どちらかと言えばそっちのほうがよりトレンドに近いんだけど僕の好みではないので今回は葉数を増やす方針での用土と育成についてざっくり解説していきます!
成熟度別の用土配合
「チタノタ専用」でかつ「室温と湿度が年間通して一定の使用環境」という条件下で、更に下の3パターンに分けて用土を管理しています。
条件付きなのに更に3つも用土使い分けるなんて想像するだけでも面倒
まぁでも子株と親株に同じペースで灌水するわけにもいかないのでしゃーなし
3~4号鉢用
最終的に7号鉢前後のサイズで葉数が多めのボール型に仕上げたい株に関して、プレステラ90や120深型で管理しているような子株の時期というのはそこまで重要度の高い期間ではありません
(※もちろん最終形を4号鉢で仕上げるような清櫻とかホオジロ系を除く)
というわけで基本は保水性の高い用土を配合して使っていきます
赤玉土(小粒):ベース培養土=1:2
ベース培養土が何なのかはすぐ下で解説するので10秒読み進めてください
とにかくベース培養土なるものに、その半量の赤玉を混ぜて使用しています。
ちなみにこの記事で紹介する培養土にはオルトラン等の殺虫剤や固形肥料等は一切配合しておりませんが、殺菌剤と殺虫剤はローテーションを組んで乳剤とフロアブルを噴霧器で定期的に散布しています。
肥料・殺虫剤・殺菌剤の組み合わせは住まいの環境にあったものを各自で使用するようにしてください
5~7号鉢用
さて、7号鉢付近で完成を目指す株にとって菊鉢5号に鉢上げした後から成株までの時期は言うまでもなく一番重要な期間です。
ここではベース培養土をそのまま使用しています
というかこの期間にそのまま使うのをメイン用途としてベース培養土を配合しました
その比率がこちらです
蝦夷砂:日光砂:パーライト:ゼオライト:竹炭=3:3:2:2:1
蝦夷砂
北海道産の軽石です。宮崎産軽石の日向土とほぼ同じものと思ってください
水を吸った時の色が日向土より若干白っぽいのが特徴ですがぶっちゃけどっちでも構いません
日向土はこちら
日向土の商品説明欄ではよく「軽石の中でも比重が重い部類で、水に沈めることができる軽石である」というような説明がなされているケースがありますが、ぶっちゃけ普通に浮きます。
日向土も蝦夷砂も結局両方水には浮いてしまうので好きな方を使ってください。
日光砂
超硬質の鹿沼土です。
ちゃんと力をいれて握りつぶそうとすればすぐ潰れるので軽石よりは柔らかいですが、それでも通常の鹿沼土よりは相当硬いのが確かなアドバンテージと言えるでしょう
焼成赤玉の超硬質なやつよりも更に硬く、配合段階でふるい等にかけて微塵抜きの作業をする必要性は薄いです
ちなみにこのベース培養土の配合で使用する5種の用土すべて微塵抜き”なし”でパッケージからコンテナに直接注いで混ぜれるようになってますので作業量的にはめちゃ楽なはず
パーライト
前にサボオクでセンナを買った時に、大きさの割に鉢がすごく軽くて抜いてみたら培養土に占めるパーライトの割合が3割くらいあったっていう出来事を機にアガベの育成環境でも積極的にパーライトを使用しています。
メリットはなんといっても物理的な軽さ
前回の記事で紹介した通り今の育成環境では45×90cmの4段メタルラックにこのトレーを1段あたり2枚ずつのせて使用しています。
トレーで管理する最大のメリットは腰水とトレーごとの持ち運び管理が可能になる点にあるわけですが、
さてこのトレーにプレステラ90を25鉢(orプレステラ120で16鉢)のアガベと土を入れた状態で持ち運びをしようと考えた時に
物理的に重すぎて持てないという問題に直面することが多々あります
外に出して殺菌・殺虫剤をまきたい、トレーに土埃が溜まってきたからブロアーで吹き飛ばしたい、天気がいいからたまには太陽からの紫外線をあてたい、
そんなときのための持ち運び用トレーなのに・・・重すぎて持てない!!!
「持てる重さになるまでパーライトで全体重量を軽くする」or「筋トレ」
選択肢は2つに1つ!
逆に”筋力で解決する”を選択する場合はパーライトは不要です
ゼオライト
意識高い系園芸インフルエンサー達から頻繁に水質改善の効能を謳われるゼオライト
どちらかというと今まではパキプスの発根管理のため使用する機会が多かったのですが、今回はアガベ用の用土にも配合することに
後述する通り灌水頻度がとても高いので、水が循環しないまま傷みの進行するリスクを抑えるためにも重要度の高い存在です。
あとゼオライトを使用したことで野菜の品質が向上したっていう論文はいくつも見たので、なんか多分オテロイにも良い影響与えてる気がしてます。しらんけど
特にCiNii課金とかなしで普通にググれる範囲の研究論文でもいくつかはヒットするのでゼオライトが作物に与える影響に関して気になった人は調べてみてください。
結局成長点の伸びを抑えつつ太く育成する上で一番大事な要素は光と水で、
灌水頻度をどうするのが一番ベストなのかは個々の株の様子を見ながら調整していくしかないんだけど
その結果「この株は育成的にはどうやら毎日水あげるのがベストらしい」っていう結論に行き着いたとしても
同時に鉢内での菌の繁殖スピードが上がったり土表面の藻が不快だったり、別の問題が発生するケースが多々あります。
そういう諸々の問題を予防するためにもゼオライトはかなり有効
あと発根管理にも使える万能な土(石?)なので大容量パッケージで買うのがオススメ
竹炭
こちらもゼオライトに近い浄化作用や湿度の調整機能を見込んで、それから申し訳程度のph調整として使用しています。
くん炭のほうが安価でメジャーなものというイメージかもしれませんが、実際に小粒サイズで統一した蝦夷砂・日光砂・ゼオライトの中に粉末状のくん炭を混ぜ込んでも上手く混ざりきらない上に
灌水の度に鉢底からくん炭が流れ出てくるという悲しい事態まで引き起こしてしまいます。
そこで登場するのがこの竹炭
しかも軽い!
というわけで以上5種の用土を配合したものがベース培養土になります。
排水性がとても高く、物理的にも軽めで保肥性がかなり低いのが特徴で、
このベース培養土のまま子株を植え込むと育成速度はかなり遅め。
なので3-4号鉢に使用するときは赤玉土を追加して使用しています。
5-7号鉢にこのベース培養土でアガベを植え込んで根が充実したら水をたくさんあげましょう。
3日に1回でも2日に1回でも、毎日水あげても大丈夫です。
使用プラ鉢
ここまで5-7号鉢で使用するベース培養土について解説したのですが、使用するプラ鉢によっても差が出てくるので簡単に補足しておきたいと思います。
アップルウェア菊鉢
5号 φ16×13 (1.3L)
6号 φ19.8×H15.8 (2.5L)
7号 φ23.6×H18.8 (4.5L)
8号 φ27×H22.9 (7L)
台湾製八角鉢
5号 φ15.2×H11
7号 φ21.2×H13.7
セラアート平鉢
5号 φ14.9×H7.4 (0.8L)
7号 φ21×H11.5 (2L)
ここで重要なのは一般的なアップルウェアーの菊鉢で5号→6号→7号と3㎝直径が大きくなるごとに内容量が
1.3L→2.5L→4.5Lと急激に増えていく点です。
流石に7号になると直径23.6cm×高さ18.8cmと、アガベを植えるにはオーバーキルな内容量になってしまうので菊鉢7号はオススメしません
スリット鉢7号も同様に非推奨です。
オススメは菊鉢5号からの鉢増しでセラアート7号(21cm)
本当は高さ的にも台湾八角鉢の7寸がベストなんだけど日本で安定して買える場所がないので消去法でセラアート平鉢1択という感じ
(※台湾八角鉢の5寸に関しては菊鉢5号とほぼ同じ規格で高さが2㎝低いだけなので菊鉢5号で全然OK)
いくら排水性を高めた用土と言えども菊鉢やスリット鉢の6号・7号サイズに満タンまで入れてしまうとそう簡単には乾かなくなってしまうのでそこは十分に注意してください
もちろんハウス管理とか週1灌水とかの場合は菊鉢7号のほうがベター
8号鉢~
用土についての知識がない人が8号以上の大株をいきなり育成し始めるっていうケースは限りなく少数だとおもうので色々端折って説明します
結論から言うとベース培養土にパーライトを追加して使用してます。
希釈倍率は鉢の大きさによってバラバラで、例えば上の写真の12号浅鉢だとほぼ1:1に近い割合でパーライトを追加してあります
半年前の写真と比較すると葉数が増えた上で若干締まった印象ですね
ただ成長点は伸びたままなんでパーライトの比率はもう少し高めたほうが良さそう
かさ増し用の用土がパーライトである必然性は薄くて、砂利や軽石でももちろんOK(物理的に重くなるので棚板の耐荷重に注意)
6月に台湾の大手ナーセリーを実際にいくつか回って土について詳しく見てきたのですが、ある程度以上の大きさの株になると砂利を結構な比率で投入してるナーセリーが多かったです
あとは水についても色々な人の温室回ってヒアリングしたところ井戸水がいいらしいっていう話しを国内外で何度か耳にしたので、一旦庭で井戸掘ってポンプつけて毎日水やりしながら検証しています
並行して雨樋から雨水用の貯水タンクを繋げたので井戸水・雨水・水道水の3種比較という感じ
そちらはまだ子株の根の成長速度でしか検証結果を出せてないのである程度全体の数字が出たら別の記事を書くかも
用土まとめ
結局自分が何の土を買えばいいのかわからなかったという人向けに楽天の買い物リストをまとめておきました
楽天room【培養土】コレクション
蝦夷砂:日光砂:パーライト:ゼオライト:竹炭=3:3:2:2:1
このベース培養土のいいところは
・ふるいなしで配合できて土の準備に時間がいらない
・毎日水あげても根腐れや徒長リスクが極小
・保肥性が低いので各肥料や栄養素に対する反応がクリアでわかりやすい(※)
・蒸されて栄養も吸って苔むした培養土のあの有機的で嫌な臭いが軽減
大体こんな感じです。排水性極振り
※液肥の話しは今回の記事で触れてないけど、要は亜リン酸の比較検証とかしたい時に用土自体の保肥性が高いと時間経過ごとの実験記録を追う手間が増えて面倒だよねみたいなそんな感じ
最初に前提として書いた通り今回紹介したのは僕の室内育成環境で”7号鉢サイズ付近での完成を目指してボール型に育成したい”場合での用土の配合事例になります
3-4号鉢くらいのサイズでコンパクトにまとめたい人や、アガベはデカければデカいほどカッコいいと感じる人、現地球のように荒々しく育った自然な姿こそが植物の在るべき形だと主張する人、インテリアグリーンとして陶器鉢とセットで写真撮影するのが生き甲斐な人、その他有象無象の原理主義者に環境活動家の皆々様
インターネット園芸界隈には色々な主義主張があって、ツイッターにインスタにyoutubeにと場所を問わず昼夜も問わず声の大きい人達が大きい声で自分の信じる園芸道を叫ぶ様はさながら群雄割拠の戦国時代
もちろん僕が所属する「7号くらいのボール株が一番好きなんだよね教」もそんな数あるカルト宗教の1派閥にしか過ぎないので、この記事を最後まで読んだあなたの判断で良い感じに情報を咀嚼して
まぁ試しにボール株仕立ててみようかなと、気が向いた時は是非この用土で育成してみてください
そんなわけで今回は初心者向け用土の作り方解説でした
次回は「アガベの鋸歯はウネればウネるほど最強!」陽炎教の狂信者によるLED検証比較です
-
前の記事
【初心者向け】園芸用必須アイテム10選 2023.08.15
-
次の記事
アガベを簡単に速く育成する方法を、複雑かつ分かりづらい文章で解説する 2023.11.16
コメントを書く